第12章 初詣*ローR《リクエスト》
慌ただしい年末年始を通り越し、仕事や学校が始まって初めての休日。
この日、は何も用事がなく家でのんびりと過ごしていた。
リビングで紅茶を飲みながら、ゆったりと本を読んでいた。
が、朝、ラボに忘れ物をしたと言って出かけていったローが昼前に帰ってきてからのんびりライフは終わりを告げた。
「初詣、行くぞ」
「…Σ似合わなっ…じゃなくて遅っ」
「いいから」
ぐいぐい引っ張られて来ました神社は、閑散としていた。
しかし、御神木の枝におみくじが巻かれていたり、絵馬が増えていたり、人が来た気配はあった。
「…お正月にはたくさん人いたんだろうな」
「そうだな」
二人で賽銭をし、手を合わせる。
数秒の沈黙の後、顔を上げるとローの目と合う。タイミングの良さに、にへっと笑うと、ローもふっと笑った。
それから近くのファミレスで昼食をとり、家に帰ってきた。
紅茶を淹れていると、キッチンにローがやってきて後ろから抱きしめられる。何回も経験済みなのでもう慣れた。
「なに?」
「今日はおれも紅茶がいい」
「…珍しい」
普段はローは珈琲を好んで飲む。
紅茶は滅多になかった。
ティーカップをもう一脚出し、紅茶を注ぎ、トレーに乗せリビングのテーブルに運ぼうとすると、おれがやる、とローが手を伸ばしてきた。
ここはお言葉に甘えて頼んだ。
優しい日の光が窓から差し込む昼下がり。
コト、とティーカップを置く音が良く響く。
「あ、そうだ」
ふと、思い出した。
「ローは何を願ったの?」
これが聞きたかった。
「が先に何を願ったのかを教えたら教える」
「Σガキか」
質問に条件付きの質問とは二十歳過ぎの男がやることじゃないだろうとも思いつつ、渋々と教えた。
「まず、ローが健康で寝不足解消されて勉強がはかどって病気しないで事故しないでちゃんとご飯たべてずっと幸せで元気でいられますようにって」
「…」
言い終わってローの顔を見ると、ローは口元を手で隠し、目線をテーブルに落としていた。
「どうした?」
「…他人の幸福願ってどうする」
少しローの顔が赤いと感じたのは気のせいだろうか。
「んー…それが私の幸せに直結するから。ほら、教えたから教えろ」