【家庭教ヒットマンりボーン】だって、かっこいいもん。
第1章 無頓着な姉
珍しく真剣な顔で私の表情を読み取ったのか、そう言葉を溢した。
「え?…っていたいって!」
どうして?そう聞くつもりだったのに、額にビシッと、衝撃とともに、鈍い痛みがはしった。デコピンされたのだ。
「あんたは、あんたで笑ってればいいのよ。似合わないことすんじゃない。わかった?」
ああ、なんともいい友達を持ったのだろう。
ありがとう、そう小さく呟いていつものように笑う。
2人たりして笑って、今日はなんだか調子がくるってしまうなぁ
「…それより柚希 」
「な、なに?」
「…今回のテストはどうだったの」
「…あ、えっと」
「今回も補習だったら許さないわよっ」
ちょっと無理がありませんかお姉さん。
先程の授業で渡った数学のテスト。
もちろん赤点。あはは、もういやだ。
きっと他の教科も似たような点数なんだろうな。
乾いた笑みをみせ、現実逃避していると前からため息が聞こえた。
「…なんで英語はできんのよ、アンタ」
「いやぁ、そんな褒めないで」
キッと睨まれたと同時に、お昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。
怖いよ、お姉さん。
――
帰り、ツナは何処にいるかと1年の教室の辺りをグルグルとみていたら見慣れた姿を発見。
「武くん」
名前を呼ぶと、驚いたように振り返り頬を緩めた。
「先輩。」
「部活?頑張ってね」
「うっす」
なんだかおかしいな、と突飛に思った。
武くんが、武くんじゃない。
力なく笑う目の前の青年は、なにか別の壁にぶち当たっているのだろうか。予想だが。
「武くんは、武くんだから。むり、しないでね」
不思議そうな顔で私を見つめる。
小首を傾げ、探りを入れるように見つめられ私はとりあえず笑っといた。
妙な胸騒ぎを抱えながら、ツナを探しにまた足を進めた。
その次の日、武くんが屋上から飛び下りそうだったらしい。ツナから聞いてビックリだ。
「え?伝言?武くんが?」
「うん、ありがとうだって。なんのこと?」
「気にしなくて、いいよ」
今度、武くんにあったらおもいっきり背中を叩いてやる。
ばーかって笑いながら。