第16章 大丈夫だよね？

『し…失礼…します』


逃げたくなった。

全部が嘘だと言ってほしくなった。

二人の過去も、

大野さんがした彼女を見る目も、

嘘だと言ってほしくなった。



えり「…智、幸せにしてあげてね？
……傷つけないであげて…」




なんで、あなたがそんなこと言うの？

意味が分からない。

別れたんでしょ？

そんなこと言う資格ない。




あたしは何も言わずスーパーに
逃げるように走っていった。