第1章 涙の祭り
意味が分からないまま、
隼斗に腕を引っ張られてあたしは
誰もいない、静かな神社に来た。
「あいつとは1年前に出会った。」
『…うん』
なんだ、あたし冷静じゃん。
遠距離恋愛しすぎたか?
でも、本当は今日…
今、背けてる胸に抱きつきたかったの。
それすらも、できないなんて…
“残酷”だよ。
「あっちで同居もしてた。
…それで、あいつ…萌のお腹には…」
『……うん』
「ごめん、
話そうとしたんだ。でも…
お互い擦れ違うし…」
結局、あたしがダメだったの?
あたしがもっと会いに行けばよかった?
でも、どうしたらいいか分かんなくて
寂しい夜も泣きたい夜も
ひとりで我慢したんだよ?
それでも、あたしはこう言うの?
言わないと許されないの?
『おめでとう……っ…さよなら』
文句だって言えた。
頬だって叩けた。
なのにさ、馬鹿じゃないの?
おめでとう。だって…