第1章 涙の祭り
あたしって相当な馬鹿だと思う。
あの後、おばさんにもちゃんと
あいさつした。
それに、あの女が入れた焼きそばも買った。
水風船も買って、
『……まつり満喫しすぎた。』
涙すら出てこずに、
ちょっと下駄で痛くなった足を
気にしながらも、カランカランと
川の堤防沿いを歩いていた。
涙すら出なくて、
蝉は代わりに泣いてくれてるみたい。
あたし、馬鹿なのかな?
もっと叫んでやればよかったのに…
『あ~…』
神様はあたしの人生を知ってるの?
幸せになる日はいつなの?
ねぇ、あしたは…あしたは…
『天気にな~れ!』
思いっきり投げた下駄は宙を回って、
「痛ーっ!」
人に当たった。