第25章 幸せのために
結婚式が終わって、
奪ったブーケを片手に
海に来た。
そこにはきっと会いたかった
会いたくて、死にそうだった
愛しい彼がいた。
『・・っ・・大野さん・・っ』
「・・・・ちゃん」
約束したわけじゃないのに、
“待ってた”みたいな顔で
ふにゃっと笑った。
でも、お互い触れれなくて…
近づこうとしなかった。
「いちごちゃん」
たぶん一番、聞きたかった
彼のその言葉
『・・結婚式だったの』
「あ・・そっか・・」
『うん』
その時間はゆっくりで・・
二人の間には波の音だけが響いていた。