【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第7章 6Fr!『それぞれのObsession!』
「夏兄___っ!」
「………っ!」
「「夏樹さんっ!」」
駆け出した遙たち4人は大好きな人の元へと飛び付くが、揃いも揃って全力で夏樹に抱きつこうとした結果___
「なっ!?ちょ、お前ら勢い良すぎだってっ!おわぁっ!!」
「きゃあっ!」
「うわぁっ!!」
堪えきれずに砂浜へと押し倒された夏樹
真琴たちは慌てて夏樹の体から退くと、砂まみれになった夏樹が、ハハハ、と楽しげに笑いだした。
『夏兄ーーっ!!だっ大丈夫!?』
「あっはははっ!すげぇなめっちゃ砂付いてるし。お前ら勢い良すぎだって!」
体についた砂を払いながら怒る様子など微塵もなく楽しそうに笑う夏樹。
「だっ大丈夫?夏兄、どっか怪我してない?」
「大丈夫ですか!?ほっ本当にすみません!!」
真琴と怜が怪我をしていないかと尋ねると、ふ、と目を細め柔らかな笑みへと変わって。
「ん、大丈夫。かすり傷ひとつしてないし、怜たちが謝るようなことは一つもないよ。」
「夏樹さん………」
既に辺りは闇に包まれ、自分達を照らすのは電灯の灯りだけのはずなのに、何故か夏樹と一緒だと昼夜関係なく明るい日差しの中にいるような感覚を覚える。
そして、その光は常に暖かく優しく真琴たちを包む。
「………なぁ、夏兄。俺はやっぱり夏兄のフリーが好きだ。水に一体化して溶け込んでいるような………俺もああなりたいと思った。」
遙は逸らしていた視線をゆっくりと夏樹に向けると、皆も同じように心の中で思っていたことを口に出した。
遙たちは夏樹の返事が伝えられるまでの間、心の中に揺れる不安な想いを必死で圧し殺し、平然を装うとするものの、表情は固く緊張を孕んでいた。
「遙………ありがとう。」
そんな中、夏樹は嬉しそうに目を細めながら話始める。
「競泳辞めたっつっても、スピードの中で泳ぐのも気持ちイイんだよ。………水に抗うことなく指先で切り込みを入れていくと俺を受け入れ一体化してくれる感覚は今も変わらず好きだよ。……でもね、こうやって海を目の前にすると、"あぁやっぱり俺の心の在処は此処だな"って思い知らされるんだ。」
「……なっちゃん…。」