• テキストサイズ

Destination Beside Precious

第2章 0.For Seasons




ねぇ、幸せ。

やわらかく包み込む温もりの中で、このまま時間が止まればいいのにと何回考えただろうか。


誰かが泣いている。あなたは誰?

溢れた涙が呟く。本当のことを話すことってこんなに苦しいことだったっけ。


誰かが嗤っている。あなたは誰?

夢や願いをすべて叶えたいと思うのはエゴだろうか。

歪められた唇からこぼれた言葉は、だったら自分はとんでもないエゴイストだ。



遠いと思えば遠いし、近い気もする。

泣いている人、嗤っている人はぼんやりとしていて誰かは定かではない。
しかし、感情だけは自分のもののように胸の奥に浸透し広がる。


ああ、幸せなんだね。苦しいんだね。


幸福と苦悩の狭間の葛藤が痛すぎるほどよく伝わってくる。

胸が締めつけられる。

なんでだろう、どうしても他人事には思えなかった。


/ 322ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp