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Destination Beside Precious

第4章 2.Only You Are Seen


「〝仲良くね〟みたいな感じのことを言った」
「?凛と汐は十分仲が良いだろ」
遙は歩いていく凛と汐の後ろ姿を眺めながら言った。
ふたりの表情はわからないが繋いだ手や歩く速度がふたりの仲の良さをよく表していた。

「…」
「どうしたの?ハル」
「いや、少し驚いただけだ」
「?何に?」

少し考えた遙はゆっくりと口を開いた。
「初めて会ったはずなのに、そんな感じがしなかった」
「!」

遙も同じことを考えていたらしい。
真琴もそう思っていた。
正確に言えば真琴はあらかじめ凛から汐の話を聞いていたから、ある程度の親近感は持っていた。
だが遙は違う。2週間前にデート中のふたりの姿を見ただけだった。
しかし遙は初対面ではないみたいだと言っていた。

「凛、楽しそうだったね」
「そうだな」

「ね、ハル。汐ちゃん、俺たちにとっても長い付き合いになると思うよ」
「俺たちも?」
「もちろんまだ会ってないと思うけど、渚と怜も」
「…凛と汐は長く続くって意味か?」
「うん」

高校生が語る〝ずっと一緒〟とは脆いものだ。
言ったそばから破局するカップルもいる。だが一方でずっと続いているカップルもいる。
凛たちは〝ずっと一緒〟を語り合っただろうか。

「どうしてそう思う」
「それはハルもなんとなくわかるんじゃない?」
と真琴は言ったが、実際濁しただけだった。
明確な理由や根拠はない。
だが真琴は、凛と汐が別れるイメージがわかないのだ。

「…お互いが信頼しあってるから…か?」
遙の目にはそう映ったようだ。
なるほどと思う。お互いの信頼関係がちゃんと成り立っていることはとても大切なことだ。

「ハルはそう感じたんだね」
「…ああ」
「それも大切なことだね」

「それにね、凛言ってたんだ」
「なにを?」
先週真琴と凛がカフェで話していたとき、1番最後に1番幸せそうに言っていた。

「〝こんなに好きでずっと一緒にいたいって思ったの、あいつだけ〟って」

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