第10章 密室インターフェース
そう思っていると僕の部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「ん、太陽かな。入っていいよ。」
「ゆき兄!やっぱり起きてたんだね!!」
弟の太陽が部屋にやってきた。
僕には11歳離れた弟がいる。しかもその弟は双子で産まれてきた。
母親も高齢出産でしかも双子を産むなんて初めてなので、家族全員ハラハラの日々が続いた。
嬉しいことに母子ともに無事。無事に産まれてきた双子の兄を"太陽"。弟を"正義"と父親が名付けた。
意味はそのままだった。
太陽のように大きく育ち、皆を照らしてほしいから"太陽"。
悪を倒す正義のヒーローのように育ってほしいから"正義"。
僕達の父親の名付け方は少し恥ずかしい。
ちなみに僕は、勇ましく希望を持った雄(おとこ)になってほしいから"勇希雄"。
誓理は、嘘を吐かないと誓って理論的に真っ直ぐ育ってほしいから"誓理"だった。
名前の由来を誰も反対はしたことはない。母も大賛成だから。
「ちょっと今、僕に目標があってさ。太陽は何で起きてるの?もう二時過ぎてるよ。朝起きれないかもよ?」
「トイレに行きたくなったんだ。それに明日は土曜日だし。ゆき兄、5日も部屋でいるから日にち分からなくなった?」
あははと笑って僕の隣に来た。
「しー。みんな起きちゃうからね。で、何か用でもあるの?」
「ううん、ゆき兄とお話ししたかっただけ!」
「そっか。…もしかして心配してくれてる?太陽じゃなくても、他のみんながとか。」
「ううん、そんなことないよ。なんでそう思ったの?」
「(何でって…)いや、何でもないや。気にしないでな、太陽。」
会話をしながらも画面から目を離さないし、手の動きも止めない。
こっちもこっちで大変なのだ。もうみんな慣れっこなので、指摘はしてこない。
「ふぅ…クリアー。これで10個目だね。そろそろ寝ようかな。」
クリアしたと同時に眠気が襲ってきた。とりあえず背伸びをして僕のベッドの上に座りにいったであろう太陽に話しかける。
「おーい太陽。兄ちゃんそろそろ寝るよー?…あ。」
振り返ってベッドを見てみると、太陽が僕のベッドで寝ていた。
「ったく。寝ちゃうならベッドに横にならないでよなー。」
太陽をわざわざ起こすわけにもいかず、しかたないので太陽の隣で一緒に寝ることにした。