第9章 囁きアドバイザー
「あー。名前な。
…ヒロトでいいや。
ヒロトとでも名乗ってやる。クソガキ。」
そう言って再び歩き出した。
家に帰り、昼食を食べてすぐに部屋へ閉じこもった。
あのアプリをダウンロードするためだ。
去年ケータイをスマホに買い換えたばかりで、正直一年後はまだ使い慣れていないだろうと思っていた。
しかし、使い慣らすのに1ヶ月もかからなかった。
自分でも驚いた。
二ヶ月後には片手でメールを送っていたのだから。
部屋に籠もり、スマホを確認してみると案の定見知らぬアドレスからメールが届いていた。
メールを開き、下にスクロールした。
そこには、アプリに通じるアドレスしか書かれておらず、見た目がなんとも不思議なメールだった。
アドレスをクリックし、アプリのトップページにとんだ。
そして一呼吸置いて、迷わずにダウンロードした。
これから有る、このゲームの"危険"を
その時は知る由もなかった。
龍也と別れてから、横断歩道を渡り終えたヒロトは不適に笑った。
「お前のお姉ちゃんは死んでるから、助けようとしても意味ねーよ。本気にしやがって(笑)」
しかしどこか嬉しそうに小走りで路地裏に姿を消した。
(本当に、あのナルミって言う人は誰なんだろう。)
ベットに寝転がりながら龍也は1人考えていた。
(ただの映像じゃない。あれは…電子の中で生きているんだ!
ナルミ…。
そういえばナルミってどこかで見たな…。
そうだ、あのトップページだ!)
体勢をうつぶせにし、スマホで《little police》のトップページを開ける。
そこに原案者の名前がナルミと書かれていた。
(やっぱり…。このナルミが、あの時テレビに写っていたナルミだとしたら…。
いや、でも考えた本人がダウンロードを止めるなんて事があるのか?ヒロトに無理やり作らされたのか…?
あれ…?
ヒロトはナルミが死者だって言ってたような…。)
『死者に言われても冷やかしにしか聞こえねえぜ?』
(じゃあ…ナルミは…)
死者…?