第8章 路地裏コンテニュー
街灯がちらちらと瞬いている。
時刻は午後9時を廻っただろう。
最近は、月が満ちるのが早いので遅くなった学生は速やかに帰宅している。
だから、この時間に外を歩いている人はまずいない。
辺りは静けさを増した。
そんな中、一層闇に近い路地裏を少女が4人の青年と共に歩いていた。
「あ、そういや一五。お前脚切られたんだっけ。平気か?」
「すごい今更なのね。血は止まったけど少し痛むわ。」
切られた自分の左足を見ると、切り傷特有の脹らみが出来ていた。
触っても痛みに変わりはないが、常にヒリヒリとした痛みがある。
つまり、痛がゆい。
後藤田が少し考えて「薬局で絆創膏でも買おう」と言い出したので、5人は大通りに出て薬局を目指した。
「あ、ゴメン。あたしのど渇いた。自販機で飲み物買ってくるから、先行ってて。」
「あ、俺の分も宜しくなー!」
「はいはい、後でジュース代返しなさいよね!?」
「わかってるよ(笑)」
車道を渡り、反対側の歩道にある自販機を目指す。
(あたしはコーラで…明石はスポドリでいっか。)
取り出し口からペットボトルを二本取り出したら、目の前のビルの狭間からか細い唸り声が聞こえた。
(声からして若いわね。…リンチかしら。)
二本のペットボトルを胸に抱えて、声のする方へ進んでみた。
(こんな時間だから真っ暗ね。1m先なんて見えやしない。)
「って、ぅわ!?」
「うっ…」
何かに躓いて派手に転んでしまった。
(なななな何!?まさか…倒れてる人に躓いた!?)
手探りで躓いた人を探すと、髪の毛らしき物体に触れた。頭を触ったようでまた「うっ…」と苦しそうな声がした。
目を凝らして見ると、やっぱり人がいた。
「ちょっと!!ねえ、あんた大丈夫?」