第6章 乙女色コントラスト
夕日のせいで朱色に光るビルの窓ガラスを横目に、校章の入った手鞄を肩で背負う。
下校時間を過ぎた夕暮れは、とても切ない。
「ぅうわぁ!!かっ、返して下さい…!!」
「うるせぇよ、ちょっとくらいイイじゃん(笑)金貸せって…!」
「ぁあああ…!!ゃめっ、止めて下さっ!!」
どこかの路地裏からカツアゲをしている声が聞こえる。
声の低さからして、不良たちは全員男。被害に遭ってるのも男。しかも、未だ独身の三十路リーマン系と考えられる。
「ったく…、何やってんだか…。」
進行方向を右に変えて、声のする路地裏に入っていく。
ビルの隙間は影になっていて、肌寒いと同時に視界が悪い。
しばらく進むと人影が見えた。
「おい、何やってんのよ…。」
スタッと地面に足を付くと、男達が一斉に振り返った。
「ぉお!一五じゃん!!へへ、良いところに来たな。」
そう、この不良達はあたしの友人。
よく家に遊びに行ったり、街を徘徊したりして仲がいい。
まあ、このように共にカツアゲはしないのだが…。
「こんなおじさん脅すより、学生にしなさいよ。大人巻き込んだら面倒よ?」
三十路リーマンは「あぁあ…」と言いながら息を整えている。正直、息が荒いおっさんは紳士であろうと気持ち悪い。