第4章 追憶セイヴァー
「あ、時雨。おかえりー!」
「ただいま、琉架。」
琉架と、走り込みから帰ってきた時雨の会話が聞こえる。
時雨が帰ったということは、もう六時が近い。
俺の起床時間が迫っている。
最近は寝不足が続いているのか、何故か寝起きが異常にダルい。
「うっ、ぁあぁー」
大きなあくびをしながらベッドから起き上がり着替える。
自室のドアを開けてダイニングルームに向かうと、朝食の匂いが漂ってきた。
「おはよう、春さん!」
「あ、おはようございます蓮堂さん!!」
いち早く気付いたのは琉架だった。
朝食を作っているにもかかわらず、家族の起床に気付くとは、我ながら良く育ってくれたと思う。
年齢は一つしか変わらないのだが。
「…はよ」
生憎、寝起きが悪いので無愛想な返事しか出来ないが、頭の中では「おはよう(爽やかスマイル)」と言っているつもりだ。
入れ立てのコーヒーカップを持ちながらいつもの席に着くと、想世がずっと自分のスマホをいじっているのに気が付いた。
「何を真剣にしてるんだ?想世。」
すると想世は「よくぞ聞いてくれた!!」と言わんばかりの顔でこちらを見てきた。
「巷で大人気のスマホアプリ、little policeをやってるんすよ!!」
と、それを突き出して見せてきた。