第14章 その名を呼ぶ創始者
「ここはドコなのか、なぜここにいるのか、なにがあったのか。まずここがどこなのかわかる奴いる?あたしはわかんないわ。」
結希が機嫌そうに言う。
しかし、誰もここがドコなのか知らなかった。知らないというよりも、次元が違うような場所だ。
「…わかりませんね。どうしよう…、もし本当にゲームの世界ならやっぱりクリアしないと元に戻らないんじゃ…。」
「あたしはイヤよ。こんなくだらない事に本気になりたくないわ。どうせ、目が覚めたらいつも通りよ。夢オチよ、夢オチ。」
「あの…、い、石依さん…?」
結希の言葉に沈黙が走ったなか、今までほとんど喋らなかった千歳が口を開いた。
「なに?千歳君。」
「関係ない話かもしれないんですけど…、石依さん以前に僕に会いませんでしたか?」
「う…うーん…、どうかなぁ…。ちょっとわかんないかも…。」
「あ!!思い出したぜ!!!」
琉架が考え込んでいるなかで、何故か時雨が何かを思い出した。
「ちょっと、びっくりさせないでくれる…?!ほんとガキなんだから…!」
「すいません、結希さん。でも俺思い出したんすよ!」
「何をですか?時雨さん。」
「俺、中2のときみさき君に会ってるんだよ!」
辺りは固まった。皆、予想外の展開に戸惑っている。
誰もが千歳の事を考えたであろうこの状況で、自分の事を急に持ち出されたみさきはヒドく焦った。
そしてみさきはこう思った。
時雨は案外、空気が読めないのだと。
「…え?ごめん、まさかこんな空気になるとはおもわなかったぜ。」
「いや…まあ、大丈夫なんですけどね。ははは…、その話詳しくしてもらってもいいですか?」
「よし。みさき君は、中学校はどこだった?」
「初宮中です。」
その言葉に千歳が反応したが、時雨は話を進めた。