第14章 その名を呼ぶ創始者
「私がこのミッションに参加することになった時は、学校の中で時雨ともう1人の人とお弁当食べてたときだったの。今日は雨だから屋上に行ける階段でいて、そしたらね、今までだれも来たことなかったこの場所に一年生2人が来ちゃったの!私の記憶が確かなら、その一年生の1人がみさき君だよね?」
「あ!あの先輩だったんですね!俺、あの時混乱してて顔見てる暇がなかったもので…!!」
琉架が言っているのはみさきが山吹と昼休みに屋上に向かおうとしていたときの事だ。
みさきは物覚えが悪く、人の顔を覚えるのは特に苦手だった。だから、その時にしっかり特徴をとらえて顔を覚えていても、別のことを考えるとすぐに忘れてしまうのだ。
「あれ、おかしいな。俺、みさきとはもっと前に会ったことある気がー…」
「どうでもいい会話はそのあたりにしなさいよ。」
時雨が問いかけたら、ツインテールの少女が言葉を遮った。中学生くらいだろうかと、みさきは思った。しかし、言葉に異常にトゲがある。
その少女は話を続ける。
「のんきにミッション以外のことしてんじゃないわよ。こっちは色々と混乱してんのよ。あんた達と話し合いたいことだって沢山あるわけ。ヘラヘラそっちで話逸らしてんじゃないわよ。」
「そうですね。じゃあ、そっちのお二人も自己紹介をー…」
「その前に、あたし達はなぜこんな所にいるか、でしょ?スマホでゲームしようと思ったらこれよ。冷静にいられる状況じゃないわね。で、ここがドコなのか、あたし達はなぜここにいるのか、お互いなにがあったのかを話し合う必要があるとおもうけど。」
時雨は困ったような顔でまた「そうですね。」と言った。頼りになりそうだと思えたが、以外と押しが弱かった。
「でも、まず私たちが誰なのかをお互いに知っていたほうがいいと思うんです。名乗り合ってから、それらのことも話し合っていきませんか?」
と、琉架が少女に言った。
「そうですよ。高校生のなかに中学生が2人だけでとっても不安だと思うけど、焦らずにいこうよ。」
みさきも続いて言う。しかし、千歳君が「やってしまった」と言わんばかりの顔でため息を吐いた。