第15章 2回目の観覧車
「疲れた?」
彼が優しく問いかける、私に。
「ううん。疲れてないよ。こうしたかっただけ」
私は彼の肩に頭をのせる。
「よしよし」
彼が私の頭をなでなでしてくれる。
そして私の顎を持ち上げ、唇を近付ける。
「ちょっと…早いよ。普通こういうの、てっぺんに来てからでしょ?」
私は笑いながら、少し身体を離す。
「え…そうなんですか? そっか。優子さんと観た映画でそうだった気がする」
彼もちょっと笑う。
でもすごく嬉しい。
朝、1回目に乗ったときは下の景色とMAPを照らし合わせてはしゃいでいただけだし、
最近なんとなく彼にそういうの避けられてた気がしてたから。
彼の膝の上にある彼の手を、私はちょっと握る。
彼がぎゅっと握り返してくれる。
「早くてっぺんに来ないかなぁ…」
彼がつぶやく。
私はまた笑っちゃう。
…
観覧車がてっぺんに来る頃、ちょっとフライング気味で、彼は私の唇に唇をつける。
……。
嬉しい…。
こんな夢みたいなシチュ、彼と経験出来るなんて…。
彼の舌が、私の唇に触れる。
え…そんなこと、こんなとこでする?
普通しないよ、見たことないよ。
でも…
私たちはファーストキスじゃないから、しても普通かな?
私は自分の舌で彼の舌に触れる。
それが合図みたいに、彼の舌がぐっと差し込まれる。
あっ…どうしよう。気持ちいい。
私は彼の腕をぎゅっと握る。
久しぶりの彼のキスを味わう。
前したのはテスト前の前だから…半月…もうちょっと…ぐらいかな?
でもなんかすごく我慢してたような気がする。
気持ちいい…
でも…
私は薄目を開けてみる。
そっと唇を離そうとする。
彼が後頭部をおさえる。
「ん、んん…ん」
ちょっと…て言いたかった。
私は彼の肩をぽんぽん叩く。
「うん…?」
彼が唇を離して、私の顔を見る。
「下ってきちゃった。斜めになるから隣のハコから見えちゃう」
「んー…そっか」
納得した様子で、彼は身体を少し離し、前に向き直す。
久しぶりだから彼も…ちょっと夢中になっちゃったのかな?
なんて想像するとにやける。