第12章 したい
彼が後ろから、私のブラウスのボタンに手をかける。
「やめてよぉ…」
私は彼の手を抑える。
「どうして?」
彼が背後から尋ねる。
「どうせ私なんか色気もないし」
「そ、そんなことないです。あ、あの…とてもセクシーですよ?」
ぷっ、セクシー…
私は笑いをこらえる。
「でも sex したくないんでしょ?」
わかんないこと言って困らせてやりたい。
「し、したくないわけないじゃないですか! したくないんじゃなくて、しないんです!」
「なんで?」
私は彼のほうを向く。
「なんでしないの? しよ…」
私は彼の目を見つめる。
「だから…それは…結婚してから…」
「ずっと先じゃん…。高校出て、大学出て…5年以上も先だよ…。私そんなにガマン出来るかなぁ…」
なんか言ってるうちに本気で寂しくなってきちゃった…。
私はうつむいて目を伏せる。
そんなにガマン出来ないよ…。
「ガマン…しましょうよ…。ガマン出来なかったらどうするつもりなんですか?」
彼が私の頬を手で持ち上げ、顔を上げさせる。
どうするって…どうしよう。
「ダメですよ…浮気なんてしちゃ…」
えっ浮気? そんなことは考えてなかったけど…。
「そんなことしたら絶対に許さないですから…」
そう言って、彼は私の唇にキスする。
彼の舌が私の口の中にぎゅうーって入ってくる。