第12章 したい
「今日はどうする? どうしたいですか? 優子さん」
雅樹くんがベッドの上で私に尋ねる。
「えー…? ふふふ…」
私は恥ずかしいのを隠すために、ちょっと笑う。
「恥ずかしがらなくていいですよ。なんでも言ってみてくださいね」
彼は私の髪を撫でながら、優しく微笑む。
「えっとね…」
「うん?」
「えっとぉ…」
「何? 言って?」
私はもう一度、照れ隠しで笑う。
彼も優しく微笑む。
「sex」
「えっ」
「sex してみたいなぁ…私」
「いや、ダメですよ…」
「なんで?」
彼の返事に私は頬を膨らます。
「いや、なんでって…。僕たちまだ高校生ですよ?」
「友達の友達が、もうしたって言ってたよ」
「よそはよそです!」
「えー…」
私は寝返りを打って、彼に背中を向ける。
「あれ? どうしたんですか? 優子さん」
背中から、彼が声をかける。
「もういい」
「いいって何が?」
「もういいもん」
「もしかして怒ってます?」
「さぁ…?」
「どうしてそんなことで怒るんですか?」
「怒ってないもん」
「じゃあこっち向いてくださいよ」
「いや」
「怒ってるじゃないですかぁ…」
本当に怒ってるわけじゃないけど、ちょっとすねてる。
彼が私のこと大事にしたくて、そういうことしないって言うのはわかってるつもりだけどぉ…