第2章 大丈夫
「この間、結婚の話をしましたけど…なんだか勢いで返事をさせてしまったような気がして…。あの、大丈夫でしょうか」
少し心配そうに、彼は私の顔を覗き込む。
「うん。確かに勢いで返事しちゃったかもだけど…でも後からいろいろ考えてみて…やっぱり私、村上くんと結婚出来たらいいなって思う」
私は正直な気持ちを答える。
「よかった…。あ、もちろん僕はまだ17歳なので、高校を卒業して、大学も卒業して、ちゃんと働いて…3年目ぐらいですかね…」
彼がうーん、と首をひねる。
「うん! それまで仲良くしてね」
私はにっこり笑う。彼も。
「はい、もちろんです。田中さん…いやあのえっと…優子さん、と呼んでいいですか?」
「うん、いいよ。結婚するんだもんね。あの…私も雅樹…くん、って呼んでいい?」
「はい、優子さん…」
そう言って彼が、私をそっと抱き寄せる。
えっ、嘘。
村上くん…じゃなくて、雅樹くんがこんな…。
やっぱり結婚するから? 結婚するんだもんね。
私は彼の顔を見上げる。
彼が私の唇にキスする。
……。
彼の唇…柔らかい。
初めてしたときよりも彼の唇を感じる。
やっぱり彼の唇のほうが柔らかく感じるなぁ。