第2章 大丈夫
「おじゃましまーす」
「どうぞ。なんだか少し恥ずかしいですけど…」
初めて入る彼の部屋。
彼の真面目な性格から想像する通りの部屋。
きちんと整頓されて、掃除が行き届いてる。
本棚には辞書や参考書、小説の文庫本、少年漫画のコミックスなど、様々なジャンルの本が取り出しやすく並んでいる。
「あ、プリクラ!」
学習机の正面の棚に私と初めて一緒に撮ったプリクラが貼られてるのを見つけた。
「勉強の途中で、その写真を見ると励まされる気がして…」
照れくさそうに彼がうつむく。
嬉しい!
私は彼にぎゅっと抱きつきたくなる。
でもガマン。まだ来たばかりだし。
えっと、とりあえず座ろうかな。どこに…
私はカバンを下ろしてキョロキョロする。
「あ、適当に座って下さい。この辺にでも」
彼がベッドを手でポンポン叩く。
えっ、ベッドに…って考えすぎか。
「ありがとう」
私はベッドに腰を掛ける。
彼も隣に座る。割とピッタリ隣。
えっ、なんか彼、急に大胆…。
彼の顔を見る。目が合って、彼がにっこり微笑む。
「あ、あの、えっと…宿題…する?」
恥ずかしくて、とりあえず思いついたことをしゃべる私。
「宿題…たくさんありますか? 今日」
彼が首を傾げて尋ねる。
「あ、いや別に英語の和訳だけ。私、英語得意だから自分で出来るよ…」
私は手をヒラヒラさせて言い訳する。
「じゃあ…少し話しませんか?」
彼が私の目を見つめる。
「う、うん。いいよ」
改めてなんだろう。緊張する…。