第7章 だめ
ある日の放課後。彼と下校中。
「もうすぐ期末試験ですね。今日はこれから僕の部屋で一緒に勉強しましょうか」
彼が私を誘う。
ふふっ、そんな遠まわしな誘い方しなくていいのに。
「うん。しよ」
私は笑顔で返事する。
…
彼の部屋。
彼が折りたたみテーブルを出してくれて勉強道具をひろげる。
……。
まぁ…本当にもうすぐ試験だし…
形だけでもちょっとは勉強するか…
「優子さん、英語が得意だからノート見させてもらっていいですか? 和訳の確認したくて」
「あ、いいよ…」
彼にノートを渡す。
あれ? でも私、ノートちゃんと書いたっけ?
彼が私のノートをめくる。
「あれ? 優子さん、この辺りから赤が入ってないじゃないですか。和訳もところどころ空白だし…」
「あぁ…授業中ぼんやりしてて。雅樹くん、帰りにコンビニでノート、コピーさせて」
私は顔の前で手を合わせて、可愛く上目遣いで彼にお願いする。
「優子さんが授業を聞いていないなんて…。いったいどうしたんですか?
ノートを見せるのは構いませんがコピーは駄目です。為になりませんから。うちで写していって下さい」
彼が真面目な顔で言う。
「はーい…」
私は仕方なく、彼のノートを写させてもらう。