第5章 嘘つきな私
日曜、私はショッピングモールで1人で買い物する。
ブーツ欲しかったし。
ちょうどいいの買えたけど、ちょっと疲れたな。
お茶でも飲みたいけど、1人でカフェ入ってもつまんないし…。
カフェの前でぼんやり立ち止まる。
「優子さん?」
名前を呼ばれて振り返ると、雅樹くんだった。
「雅樹くん…。買い物?」
「えぇ、書店に。優子さん、友達は?」
「あ…。急に親戚の家に行くことなったって。だから私、今日は1人で来たの」
とっさにごまかす。
私、最近嘘つきだ。自己嫌悪…。
「それなら僕を呼んでくれたらよかったのに。コーディネートのアドバイスは出来ないけど、荷物持ちぐらいなら出来ますよ」
私のさげてるショップの袋に彼が手を伸ばす。
「いいよいいよ。重くないから。それよりも一緒にカフェ行かない? 私、喉渇いちゃって」
私は目の前のカフェを指差す。
「えぇ、行きましょう」
彼がニッコリと微笑む。
…
彼とカフェでお茶飲んで、おしゃべりした。
そして書店を一緒にぶらぶらして、また喉が渇いたから、今度は自動販売機でジュース買って、ベンチに座ってずっとおしゃべりした。
すごく楽しかった。
私たちいつもこんなふうにデートしてた。
エッチなことしても、こんなふうに楽しく過ごせるんだ。
当たり前のことなのかもしれないけど…。
「疲れた? そろそろ帰ったほうがいいですかね…」
ぼんやりする私の様子を見て、彼が声をかける。
いつの間にか、もう夕方。
「もっと一緒にいたいな…」
私の口から、思わず本音がこぼれる。
「じゃあ、もう少し」
彼が優しく微笑んで、私の手を握る。
私もきゅっと彼の手を握った。