第5章 嘘つきな私
昼休み、いちごオレを飲みながら彼とおしゃべり。
「今度の日曜は予定がありますか? 先週もデートしましたけど、もしよかったらまた…」
「あ、ごめん。友達と約束してて…。服、買いに行くの。可愛いの見つけたら今度のデートに着ていくね」
私はニコッと笑う。
でも嘘です。ごめんなさい。
「優子さんは何を着ても可愛らしいですよ」
彼が嬉しそうに笑う。
そんなふうに言ってくれて本当に嬉しい。
嬉しいのに私は嘘ついてる。
「あ、髪にホコリが」
彼の手が私の髪に触れる。
私の身体がビクッとこわばる。
彼の手、彼の指…が、私の身体を…。
思い出したくないのに、私の頭に浮かぶ。
「はい、取れました」
彼がニコッと微笑む。
「ありがと」
私も笑顔で答える。
なるべく自然に見えますように…。
…