第5章 嘘つきな私
次の木曜、今日も彼の部屋に来た。
今日こそ本当に覚悟は出来てる。
そういう状況になると私、頭がワァワァしちゃって言い出せないから今のうちに話そう。
「あの…雅樹くん」
「はい」
私の呼びかけに、彼は笑顔で答える。
「コンドームは持ってるの?」
思い切って言えた…けど、やっぱり超恥ずかしい!
「え、コンドーム…ですか?」
彼も心なしか、照れくさそうに復唱する。
私は無言で頷く。
「持ってますよ。興味があって…以前買ってみたんです。見たいですか? 少し奥のほうにしまってますけど…」
引き続き照れくさそうに、彼が説明する。
「いや…あの…見たいっていうか…必要だし」
「必要? どうして?」
彼が不思議そうに問いかける。
はぁ? 何すっとぼけてるの?
真面目ぶってるくせに生でやるつもり?
私は少しあきれる。
「だって…必要でしょ? いくら結婚するからって、今妊娠しちゃったら大変。高校ぐらいは卒業したいし、大学だって行きたいよ、私」
彼はすっとぼけた顏で、私の話を聞く。
胸ぐらつかんでやりたい。
「あ…」
しばらくして、彼がやっと言葉を発する。
そして優しく、少し気まずそうに微笑む。
「優子さん、すみません…。女の子にそんな心配をさせてしまって。大丈夫ですよ」
彼がそっと私の背中を抱く。
耳もとに彼の息を感じる。
「しないですから、そんなこと。大事にします、優子さんのこと…。
結婚するまで sex しません」