第3章 変わる
日曜、約束通り、彼とデート。
ショッピングモールの映画館へ行くとき、いつも駅で待ち合わせして向かう。
「お待たせ! 雅樹くん」
「いえ、僕も来たところです」
時間ピッタリに行っても、5分前に行っても、彼はいつでも待っててくれるので、私はいつも時間ピッタリに行くようにしてる。
「あの、今日、両親が出かけてて夜まで帰って来ないんですよ」
彼が笑顔で話す。
「へー」
私は相槌を打つ。
「よかったら家に来ませんか? 調べたんですけど、映画は来週もやってます」
彼は引き続きニコニコ笑う。
えっと…
えっ
こないだしたアレをまたやるつもり?
えー…
「ご、ごめん。私、今日、体調悪くて」
私は適当な理由をつけて断る。
「え? 風邪ですか? なら、余計に人混みへ行かず、家でゆっくりしたほうが…」
「あっ、違う! 風邪じゃないよ…。おなか…お腹ちょっと痛いだけ。大丈夫なんだけどね。ちょっと調子悪いの」
どうしよう、変にごまかしたらややこしくなるかな。
正直に言ったほうがいいかな。
でも私の考えすぎなだけかもだし…。
「あっ…。すみません、変に詮索してしまって。お腹が痛いんですね。わかりました」
彼が優しい顔で言う。
「女の人は大変ですよね…。
うん、でも将来子供を生むために必要なんですよね。ふふっ、僕と君の子供…。
じゃあ映画を観に行きましょうか。疲れたら遠慮なく言って下さいね。無理しないようにしましょう」
嬉しそうにそう言って、私の手をとり歩き出す彼。
あっ…
もしかして生理だと思われちゃった…
違うんだけど
もういいや…。
彼に手をひかれて私は歩く。