第3章 変わる
彼と一緒に自動販売機でジュースを買って、その辺に座って飲む。
「持ってきた本をちょうど読み終わったんです。だから少し、優子さんの顔がみたくなって」
彼がにっこり微笑む。
彼の様子はいつも通りな気もするけど…
でもこんなふうにジュース飲みに誘うのだって、私からが多かったのに…
頭の中でぐるぐるしちゃう。
「まだ気にしてるんですか?」
「えっ」
「ふふ…朝言ってたこと」
不意に声をかけられて、ちょっとぼんやりする。
朝言ってたこと…あっ
「う、ううん。大丈夫。えへへ」
私はへらへら笑う。
気にしてるけど、大丈夫です。
「週末、会えますよね?」
彼が優しく私に尋ねる。
「うん。デート…私が前言ってた映画でいい? 少女漫画が原作だから女の子向けだと思うけど…」
デートの予定の確認。
「えぇ、いいですよ。僕は優子さんの観たいものに興味があります」
彼が微笑む。
いつものことだけど…優しいな。
嬉しくて、ちょっと恥ずかしくて、ジュースを握ってちょっとうつむく。
やっぱ気にしすぎかな、村上くん…ううん雅樹くんはいつも通りだよね。
もう私、意識しすぎ!