第3章 変わる
「男の子ってエッチすると変わるのかなぁ…」
お昼休み、私の発したつぶやきに友達のアキとユカが身を乗り出す。
「え! したの…? 村上くんと?」
「ついに? っていうか、やっと?」
「あっ…ううん。してないっ。してないよ」
私は慌てて否定する。
エッチなことはしたけど、エッチはしてない。
「だよねぇ。村上くんがねぇ」
アキが納得する。
だよねぇ、そう思うよねぇ。
「はぁ…」
思わずため息をつく。
「どうしたの、優子」
「んー…えっとね、こないだ初めてキスしたんだけど…」
私は小声で打ち明ける。
「は?」
「こないだ初めて…って、まだキスもしてなかったってこと?」
「え? あ、うん。先週…かな」
2人のツッコミに、私はおずおずと答える。
「バッカじゃない。それでエッチした後の心配してんの?」
「ねー? そのペースだと、そんなのまだまだ先じゃんね」
2人が顔を見合わせてゲラゲラ笑う。
私はちょっとふくれる。
「あっ、村上くん。優子、村上くん来てるよ」
アキの指差す方向を見ると、教室の後ろの扉からこっちをのぞいてる彼と目が合う。
私は立ち上がって、彼のとこに駆け寄る。
「あの…友達と大事なお話してませんでしたか?」
彼が心配そうに尋ねる。
「ううん、全然。くだらない話しかしてないよ」
私はにっこり笑って答える。
村上くんの噂話なんてしてないよ、全然。
「そうですか、よかった。あの…よかったらジュースでも買いに行きませんか? ごちそうするので…」
「あ、いいよ、ごちそうなんて。私も甘いもの飲みたかったの。財布取ってくる。ちょっと待っててね」
私は自分の席のカバンの中から財布を出して、アキたちに声をかける。
「ジュース飲みに行ってくるね」
「いってらっしゃい」
「仲良くねー」
ニヤニヤしたアキたちに見送られる。