第21章 だいたいそう
「気持ちいいね」
「うん…」
湯船に2人で入る。
狭いから身体はくっついてる。
彼は少し恥ずかしそうにうつむいてる。
「恥ずかしいの?」
彼に尋ねてみる。
「恥ずかしいですね」
目を合わせないで、彼は答える。
変なの。もっとすごいことするくせに。
私の顔は多分にやける。
「笑ってる…?」
彼が尋ねる。
「うん、笑ってる」
「どうして?」
「思い出し笑い」
「エッチですね」
「知ってるでしょ」
「…そうでした」
彼はまた恥ずかしそうにする。可愛い。
「明日は1人でお風呂に入らないといけないのかぁ」
私はなげく。
「え、いつも1人ですよね?」
彼が笑う。
「そうなんだけど」
彼の肩に頭を乗せる。
しっとりした私の頬と彼の肌がぴったり吸い付く。
「夏休みは…勉強するよね?」
おそるおそる私は尋ねる。
この2日間、聞きたくて、聞きたくなくて、聞けなかったこと。
「うん」
彼が頷く。
私は彼の横顔を見上げる。
うん。
わかってる。
今は一生の中で頑張らないといけない時期のひとつであること。
そして、もう私たちはくっついていなくても離ればなれなんかにならないこと。
「でもさぁ…」
彼が少し遠慮がちに口を開く。
「うん?」
私は改めて彼の顔を見上げる。
彼も私の顔を見つめる。
「我慢出来なくなったらやらせてくれる?」
「……ぷっ。いいよ。あはは」
私と彼と一緒に笑った。