第19章 夏
なんで私がいるのにエロ本読むわけ?
腹を立てて表紙に目をやる。
『特集! How to SEX』
……。
とりあえずページをめくる。
…
「ただいま」
「おかえり」
雅樹くんがお風呂から帰ってくる。
「あれ? 勉強してないんですか?」
ベッドで寝転がってスマホをいじってる私に彼が尋ねる。
「ん…読んだよ。いちおう」
目を合わさないで答える。
「ねぇ、何かしてみたいのあった?」
うつぶせに寝てる私の背中から、彼は覆いかぶさり、耳もとでささやく。
「あったよ」
ちょっと振り向き彼の顔を見上げて答える。
「なになに? 教えて?」
私は起き上がり、その本を取り出し、ページをめくる。
「これ」
私はそれを指差す。
「フェラ…」
彼がつぶやく。
「してみたいなぁ…」
私は彼の肩に頭を乗せて、彼の顔を見上げる。
「する?」
私の頭を、耳の辺りを軽く撫でながら、彼が尋ねる。
「いいの?」
「うん。今、綺麗だし…」
彼がふふっと照れ笑いする。