第17章 ありがとう
「優子、村上くんとまた付き合ってるでしょ」
ある日、教室でお弁当を食べてるとき、マナがこっそり私に尋ねる。
「…別に。まぁシカトしない程度にしゃべるだけだよ。同じクラスだし」
そう答えておく。
「ホントに? 2年ときのクラスの子がモールのドーナツ屋さんでデートしてるの見たって言ってたよ、最近」
「……」
見られたか…。
マナがさらに突っ込む。
「ヨリ戻したんでしょ?」
「そう…なるのかなぁ…」
「なんで私に黙ってるのー?」
「なんか…恥ずかしくて…」
「何が恥ずかしいの」
「だって…だってさぁ…
受験のために別れたのに、まだ全然結果どころか始まってもいないのに。
だいたい勉強の邪魔だからって納得して、いや、納得はしてないけど。それなのに、それなのに、ちょっと息抜きしたいから会おうって?
言ってること全然意味わからないし、そんな誘いに喜んでホイホイ出向く自分が恥ずかしいの!」
途中からちょっとヒートアップしてきた。
「私にそんな熱弁されてもね…。本人に言えば?」
引き気味に相槌を打っていたマナが、ひとりで本を読みながらお弁当を食べてる雅樹くんのほうを見る。
それもそうですね。