第17章 ありがとう
彼は言った。
一度別れよう、って。
それって受験が終わったら、また付き合おうってことなのかな。
私はわからないまま、彼の提案に頷いた。
そこに突っ込んでハッキリとお別れになってしまうのが、私は怖かった。
それにそんな都合のいい提案に納得したフリするのも嫌だった。
私は少し怒ってる。
そして悲しい。
…
「結婚するまで sex しない」って言われたとき…
私はやっぱりちょっとガッカリした。
でもちょっと嬉しい気もした。
そんな彼の真面目さが好きだった。
でもそのせいで別れてしまうことになるなんて。
私のこと大事にしたいなんて言ったくせに、結局雅樹くんは私のこと放り出した。
それとも単に流されやすくてだらしない私に失望してしまったのかな…。
私は雅樹くんのこと、嫌いにはなってない。
というよりも、好き。
同じ教室にいる彼を感じるだけで、私の胸はときどき痛くなる。
だから同じクラスになんてなりたくなかった。
…
私は一生懸命勉強した。
ひとりで生きていくために勉強しなきゃ
とか思う。
…
6月、体育祭の準備で教室に残ってた。
一緒に作業してた友達のマナは先に帰った。
私は体育祭当日は放送部で忙しいから、準備はなるべく手伝っておこうかなと思う。
それに…
雅樹くんもいつも残ってるから。
同じクラスになったばかりの頃は、雅樹くんと顔を合わすのが嫌でしょうがなかった。
でもすぐ慣れた。
ただのクラスメイトです、みたいなフリするの。
まあ実際ただのクラスメイトなんだけど。