第3章 夏祭り
翌朝、共同の洗面所では火神と黒子が歯磨きをしていた。
「おはよ、2人とも。もうすぐ朝ごはんだよ」
そこに桜が笑顔で声をかける。
「おう。」
「おはようございます。」
2人が眠そうに返事を返す。
「黒子君、今日もすごい寝癖だよ?直してあげる」
そう言って桜は、水道で軽く手を濡らしてから黒子の髪に手を伸ばす。
「柔らかい髪だよね。ほんと、毎朝大変だね。」
「ありがとうございます」
直してもらっていることにお礼を言いながら、眠い目をこする黒子。
「ったくお前は、それくらい自分でやれってーの」
隣で火神が呆れている。
「お、桜ちゃん、おはよー」
そこに、高尾と緑間が歩いてきた。
「おはよう、高尾君、緑間君」
「何黒子、寝癖直してもらってんの?」
じゃれ合うような桜と黒子の2人を見てから、ちらっと緑間を見る高尾。
一方の緑間は、無意識なのか2人を睨みつけていた。
それを見た高尾は、くるりと背を向け口を押さえ、肩を震わせて笑っていた。
(真ちゃん、微妙にやきもち焼いてるんじゃね?)
「黒子、寝癖くらい自分で直せ。行くぞ、高尾」
その瞬間、高尾は吹き出して笑った。
明らかに不機嫌という口調で言い放つと、緑間は立ち去ってしまった。
(真ちゃん、わっかりやすいなー)
「なんなんだ?あいつら」
傍らで見ていた火神は怪訝な顔で2人を見た。