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【黒バス】真夏の海から

第1章 海合宿


「あー!真ちゃんみーっけ!」
宿の近くまで来た時、一人の男の子が指をさしながらこちらに走ってきた。
「高尾、うるさいのだよ」
高尾と呼ばれた男の子は、「真ちゃん」と呼んだ彼の前まで来ると、隣にいた桜を見て驚いた顔をした。
「な、なんでこの子と一緒にいるんだよ!はっ!しかも手までつないで!!」
「うるさいと言っているのだよ。手ではなくて腕なのだよ」
「何その言い訳!」
高尾に指摘され、彼は桜の腕を離した。
「それより高尾、何か用か?」
眼鏡を押し上げながら問いかける。
「この子を探してたんだよ!そしたらついでに真ちゃんも姿が見えねーし」
そう言いながら高尾は、彼を桜から少し離れた所に連れて行った。
「どういうことだよ!興味ないとか言っておきながら!」
「何のことなのだよ」
「何じゃねーよ。俺が先にいいなって思ったのによー!」
こそこそと話をする2人を見ていた桜は、おずおずと声をかける。
「あ、あの・・・」
すると高尾がにこにこと桜に近づいてきた。
「俺、高尾。高尾和成。よろしくね。こっちは真ちゃん・・・緑間真太郎ね。えーっと何ちゃん??」
「えっと、相原桜です」
「桜ちゃんね。可愛い名前だね」
すらすらと自己紹介をし、さらには名前まで聞き出すという高尾のコミュニケーション能力は高い。
屈託なく笑う彼に、思わず桜も笑顔を見せた。
「お!笑った顔もちょー可愛い!」
「な・・・」
ストレートな高尾の言葉に、桜は頬を染めてうつむいた。
それを遠目に見ていた緑間は、少しむっとした様子で宿に歩き出した。
「先に戻るのだよ。ここまで来れば大丈夫だろう」
「え?大丈夫って何何?」
立ち去ろうとする緑間に慌てながらも、再び視線を桜に戻して問いかける。
「その・・・さっき男の人に声をかけられて・・・助けてくれたんです」
宿の入り口に消えかけた緑間の背中を視線で追いながら桜は答えた。
高尾も、同じように視線を巡らせると、
「へーぇ、あの真ちゃんがねー」
と、にやりと笑った。
「ま、とりあえず部屋に戻ろーぜ」
すぐに2人も緑間の後を追うように宿へと入っていった。
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