第8章 文化祭~開幕~
「あれー緑間っちこそなんでここにいるんすか」
「質問しているのはこちらなのだよ」
「えー 女の子に文化祭のこと聞いたっすよ。で、桜っちに会いに来たってわけ」
面倒くさそうに答えた黄瀬は、すかさず桜の前に来る。
「桜っちー相変わらず可愛いっすね!早く俺の彼女にならないっすか」
「な、何を言っているのだよ黄瀬!」
すかさず緑間が割って入る。
「えー なんすか」
「それに、桜っちって。こいつの何を認めているというのだよ」
黄瀬は、自分が認めた相手に~っちをつける人物。
「桜っちってすごいんすよー。俺でも最初は気づかなかった黒子っちの存在に気づくんすよ。
それに、こんなに可愛いし。放っておけないっすよ」
そう言うと、黄瀬は桜の肩を抱き寄せる。
「ちょ、ちょっと黄瀬君・・・」
困った顔で黄瀬を押しのけようとする桜。
「それより緑間っちは何しに来たんすか?」
逃げようとする桜におかまいなしに話を続ける黄瀬。
「・・・彼女に会いに来たのだよ」
黄瀬の行動に苛立ちを隠せない緑間。
「え。緑間っちに・・・彼女?!マジっすか!物好きがいるんすね・・・」
緑間の発言に驚きが隠せない黄瀬。しかし、さほど興味を持たなかったのか再び視線を桜に向けた。
「そんなことより、ね、桜っち。一緒に校内まわりましょうよ!」
目の前で笑顔を見せる黄瀬の後ろには、苛立った緑間の姿。
「えっと・・・後ろの彼氏が怒ってるから・・・ごめんね」
「え・・・後ろって・・・」
ゆっくりと視線を巡らせた黄瀬。その先には、緑間が睨みつけていた。
「桜っちの彼氏って・・・まさか・・・」
顔が引きつる黄瀬。桜の肩を抱いていた手が力なく落ちる。
その瞬間、桜はするりと黄瀬から離れ、緑間の腕に擦り寄った。
「ごめんね。物好きで。でも、大好きなの」
桜はいたずらっぽく笑って見せた。