第8章 文化祭~開幕~
「なに真ちゃん、会うの久しぶりなの?まさか合宿から一度も会ってないとかはねーよな?」
接客に戻る桜をちらりと見てから高尾が口を開く。
緑間は、グラスに口をつけながら黙っていた。
「え、もしかしてマジで?!」
アイスコーヒーを吹き出しそうになる高尾。
「いや、ありえねーだろ」
一方的にしゃべる高尾を無視する緑間。
「俺だったら放課後一緒に帰ったり、休みの日にデートしたり、いろいろしてーよ」
そう言いながら頭の後ろで手を組んだ。
そんな高尾を横目に、近くで接客している桜に視線を移す緑間。
「そんなことしてっと、自然消滅しちまうぞー」
高尾も桜に視線を移すと、お客からデートの申し込みをされて困っている姿が見えた。
「桜ちゃん人気あるみたいだし。いつも側にいられる男に取られちまうぜー」
にやりと笑う高尾。
お客からの申し込みを必死で断る桜の姿を、緑間は思い詰めたような顔で見つめていた。