第7章 文化祭~準備期間~
地獄の合宿から一週間。夏休みも終わってしばらく経ったある日、
桜のクラスでは文化祭へ向けての話し合いが行われていた。
出し物はメイド喫茶に決定していたので、その役割分担や買出しについて話し合っていた。
委員長が教壇に立ち、次々と話を進めていく。
桜は、窓際の席で頬杖をつき、ぼんやりと外を眺めていた。
あの合宿以来、緑間とはメールを数回交す程度だった。
部活で忙しいのは分かっていたので、あえて「会いたい」とは言わなかった。
「桜さん、桜さん」
ふいに名前を呼ばれ、振り向くと黒子が立っていた。
「あ・・・えっと、ごめん」
「いえ。それより僕たちこれから買出しだそうです」
リストらしきものをひらりと持って見せた。
「黒子ぉ!桜ちゃんに似合うメイド服をしっかり見立ててこいよぉ!」
クラスメイトの1人が涙ながらに黒子の肩に手を置く。
「くっそー黒子のくせにぃー!」
よく見ると、あちこちで悔し涙を流すクラスメイトの姿。
「え・・・なに?」
桜は怪訝な顔でクラス中を見回した。
「今、誰が桜さんと買出しに行くか選手権が行われたんです」
「は、はぁ・・・」
黒板を見ると、先ほどまでの議題ではなく、でかでかとあみだクジが書かれていた。
最後まで当たりが出ず、残っていた黒子が引いたらしい。
「桜ちゃん、可愛い服選んで来てね!」
同じ接客係りの女子からも声をかけられると、黒子に促され教室を後にした。