第5章 山合宿
「黒子くーん!そっち終わったらこっちもお願いー。ついでに火神君もー」
「ついでって何だよ!いっつもてめえは!」
近寄ってきた桜に食いつく火神。
「えー?聞こえたー?」
にこにこしながら火神をあしらう桜。
「え?高尾君?緑間君も!」
視界に2人の姿が入り、桜は驚きの声を上げた。
「うは!桜ちゃん!ひっさしぶりー!」
高尾は笑顔で桜に近づいた。
「え?どうしたの、こんなところで」
驚きを隠せない桜だが、笑顔で質問してくる。
「俺らも合宿なんだよ。あっちの宿に泊まってるんだ」
そう言って高尾が指さした方向には、立派な建物が建っていた。
ここは、街から少し離れた小高い丘にある学生向けの宿泊施設。
桜たちがいるのは、同じ敷地内に併設されたキャンプ場の方なのだ。
合宿費用を抑えるために、キャンプ場を利用し、今回も自炊のため桜が同行していた。
「ちょっとー何騒いでるのー?」
そこに監督のリコが姿を見せた。
「あ。リコ先輩」
「え?秀徳さん??なんでまたここに?」
「合宿なんですって。あっちの建物に泊まってるって」
同じ質問をするリコには、桜が簡潔に答えた。
「へぇーじゃあまた合同練習をお願いしようかしら」
満面の笑顔を見せるリコにあからさまに嫌な顔をする男3人。
黒子は黙ってリコの方を見るだけだった。
「じゃ、じゃあ俺らロードワークの途中なんで」
と逃げるように走り去る高尾。
緑間は、じっと桜を見つめ、口の端で微かに笑うと高尾を追いかけるように走り去った。