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【黒バス】真夏の海から

第3章 夏祭り


参道の奥の方は人がまばらだった。辺りは薄暗く、お囃子が遠くに聞こえる。
3人は社へと続く長い階段を上っていた。
「きゃっ」
中盤に差し掛かった時、桜がふいに声を上げた。
「おい。気をつけるのだよ」
倒れこみそうになった桜を抱きかかえるように支えたのは、緑間だった。
「あ、ありがとう・・・」
おずおずと顔を上げると、緑間の顔が目の前にあった。
広い腕の中にすっぽりとおさまってしまう桜の細い体。
緑間の鍛え上げられた体が、Tシャツの上からでも分かる。触れている箇所が熱を帯びていく。
「もう、大丈夫だから・・・」
急に恥ずかしくなった桜は緑間からそっと離れた。
「そうか。気をつけて歩くのだよ」
緑間はそのまま階段を上っていく。
優しい一面をみせる緑間が気になって仕方ない桜だが、
瞬時に切り替わる素っ気無い態度の方がどうしても気になってしまう。
「やっぱり一緒にいるの、嫌なのかな・・・」
「おいおい桜ちゃん勘違いしちゃってるし。しかもそこは手を引いてあげるところだろ」
2人を黙ってみていた高尾は、呆れ顔で呟いた。
「桜ちゃん、大丈夫だった?ゆっくりでいいから」
「うん。ありがとう」
緑間に遠慮して、あえて手は貸さなかった高尾だが、桜の横に付き添ってゆっくりと階段を上った。
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