第2章 炎天下【影日】
木漏れ日に目を細める木々の間。降り注ぐ蝉時雨の中、身を寄せ合う二人......
なんてロマンチックなフレーズは到底似合いもしない蒸すような猛暑日。
そもそも木漏れ日なんて生温いものじゃなく灼熱の直射日光であるし、蝉の声は耳障り以外の何物でもなかった。ましてこれ以上気温が上がるなんて冗談じゃない。
「んあー!暑い!!」
腕を力いっぱいに炎天に突き上げて叫ぶ日向と、
「喋るな...余計暑苦しい」
かんかん照りの日差しからは格好の的となる黒髪を汗に濡らす影山と。
二人が小遣いを握らされて向かっているのは最寄りのコンビニ。
他県に練習試合に来ていた烏野の、お使いに駆り出されたのだ。
要するに、パシリである。