第2章 嵐:大野智
「智、髪伸びたね~」
翔ちゃんが前髪をいじる
そうかな?
最近、切ったばっかだけどな
「どんぐらい切ってないの」
「そういや、
だいぶ切ってないかも」
めんどくさいけど切るか、
なんて呟いたら
翔ちゃんが笑いながらこうつっこむ。
「切ったら騒がれちゃうね、智」
「やっぱやめよ」
「や、切れよ」
地味男でいいのに。
前髪が目にかかって鬱陶しいし。
はぁ、とため息をつく俺に
翔ちゃんはやっぱり笑う。
「イケメンにしてもらえよ!」
「…うるさい」
チラつく君の顔。
別に、そんなんじゃない
ついさっき、
泣き顔なんか見たからだ。
きっとそう。
「絶対にそれしかない!」
「なにが?」
これの気持ちが好きだったら、
だぶんそれは一目惚れ以外、
思い当たらない。