第2章 嵐:大野智
なんで?
そう聞かれれば、
ただの気まぐれだよって答えてあげるよ
どうして?
そう聞かれれば、
別に意味なんかないよって応えよう。
「泣くぐらいなら
助けてって言いなよ、それぐらい出来るでしょ」
手を離して彼女から離れる。
後始末なんて、
いつもお人好しの翔ちゃんの役目で
よしよし、大丈夫?って
そんな優しくしたら
好きになっちゃうのは当たり前だよ
「智も優しくすればいいのに」
不器用な俺に出来ることは、
窮屈で退屈で、
つまらない群衆から
君を連れ出すことぐらいなんだ。
「別に。」
ほらね、
つまらない。
だから俺は本を読む。
「あ、りがとうっ…」
嬉しそうに笑う君の笑顔なんて、
これっぽっちも、
可愛いなんて思ってなんかいないさ
ただ、ちょっとだけ
笑顔を見れたのが、
俺だけじゃないことに
ヤキモチ妬いてるだけ、なんだから