第2章 嵐:大野智
本当の事を言うと、
変わらない毎日に飽きていたんだ
さほど変化もない日常。
だから俺は本を読んだ。
本の中には沢山の面白い日常があった
人付き合いなんかするよりも、
俺は沢山の本を読んだ。
無口な俺を、周りは地味男だと呼んだ。
「さーとし」
そんな俺にいつも声を掛けるのは、翔ちゃん
爽やかな優等生だとか呼ばれてたっけ
彼は人付き合いが上手くて、
たくさん友達が周りには居た。
「おはよ、翔ちゃん」
「おはよう
最近よく見てるけどだれ?あの子」
ちら、と見ると昨日のあの子
また、だ。
彼女は人見知りで大人しい子。
だからクラスの中心的人物からは
格好のからかい相手。
反撃もしない彼女を助けるのは、
俺か翔ちゃんぐらい
「行く?」
「俺が行ってくるよ」
やめればいいのに。
泣きそうなのに。
「ねえ、分かんないとこあるからさ
ちょっと教えて、ちゃん」
潤んだ目と合った。
やっぱり泣きそうだ。
助けてぐらい言えばすぐ来るのに
『…大野くん、』
「なに?」
目を彼らに向けると、
びくっ、と肩が震える。
「また泣かそうとしたら、
俺、何するから分かんないからやめてね」
行こう、と手を引っ張る。
がた、と彼女が立ち上がるのを確認すると
また自分の席に戻った。
これだから人付き合いは苦手なんだ。