第3章 嵐:櫻井翔
「コーヒー美味ぇ…、
あ、そうだ。
今週は帰りが遅いからね」
「そうなの?」
「うん。クリスマス特集でね」
あはは、なんて笑ってる場合じゃないよ
でも、私は
クリスマスを一人で過ごすのに抵抗はない
アイドルの彼に、
求めすぎるのはワガママだと思うし、
仕方のないことだもの。
「今年は、アイスケーキにしよーっと」
「毎年でしょ!」
カタログを楽しそうに見る私に、
翔くんが少し悲しそうな声で呟いた。
「寂しい、ぐらい言っていいんだよ」
「大丈夫だよ、心配しないで」
そう笑うと、
さらに悲しそうにする彼。
そんなに寂しそうに見えるのかな?
「翔くん、私ね、
また会えるって思ったらさ、
行事なんて大切にしなくてもいいの。
毎日一緒に笑ってればいいんだからね、私」