第11章 関ジャニ∞:安田章大
ガコンッ
「しょーた、外れてもうてるやん」
「…おおくら」
ゴールのふちにあたって、
跳ね返り転がってったボールを
持ったおおくらこと大倉忠義が
ユニフォーム姿でやって来た。
彼もまたバスケ部員だ。
「そんなんじゃ、試合外されんで」
「…別に練習やないもん。
これは、ただの…あの…あれや、」
「八つ当たりか」
ふふ、と笑うおおくらは
持ってたボールを投げた
綺麗にボールが入るのを見て、
同時にため息が出る。
「なんや、心配事か?」
「別に」
おおくらが拾ったボールを
奪い取ろうと手を伸ばすと
空振りする手のひら。
にやりと笑ったおおくらの口元。
「なんやねん」
「しょーたの悪い所はさ、
すぐ怒るとこと自分の気持ちに鈍いとこやな」
ひひ、とイタズラに笑う彼に
心のモヤモヤの正体を
分かっているように思えた。
「しょーたは、イライラしてる理由。
ちゃんと分かってる?その原因も」
「…それは……」
いつだって、モヤモヤした時、
頭の中に思い浮かぶのは
の姿で
今回だって、頭から離れなくて
でも、気持ちの名前が分からなくて。
「しょーたはアホやから。
肝心な気持ちを気づけてへん」
肝心な、きもち…。
「翔くん、って子に妬いてんねん
二人っきりやからな、ヤキモチやで」
ぽん、と投げられたボール。
思わず受け取って、
おおくらの顔を見ると
ニコッと笑ったおおくらが
「せいぜい頑張りや」
「……ありがとう、おおくら」