第11章 関ジャニ∞:安田章大
勉強を始めて3時間、
すでに夕方になっていて
外も暗くなり始めていた。
「そろそろ終わりの時間やね。
休憩なしで、ごめんな。
早めに勉強おしまいにしとこか。」
お姉さんが道具を片付け始めた。
綺麗に使われているノートを、
丁寧に仕舞うお姉さんに
「…別れたんやね、あの人と」
そう切り出した。
干渉するのは間違ってる。
そんなことは、痛いほどに分かってる
「なんで章大が知ってんねん」
睨みつけながら僕を見るお姉さん。
「家の前で、話しとったら
そら嫌でも耳に入るやろ。アホやな」
ねえ、教えてや。
お姉さんにとってあの人は
どんな存在やった?
笑顔やったのに、
悲しい顔を浮かべたんはなんでなん?
「…他に好きな人でも、出来たんやろ」
拳に力を入れる。
お姉さんは、また笑顔で
僕の顔を見て答えた。
「リョウと付き合ってる時、
どうしても頭に別の人がいたの。
どれだけリョウに好きだと言われても、
頭からは消えたりせえへんかった。
ダメや、って。そんなことわかってた
だからその人と顔を合わせないようにした
どれだけその人を傷つけても。
でもあかんかった。
合わせないほど、やっぱり考えてもうて
リョウに言われてん、誰の事考えてん、って」
「それ、」
涙がじわじわと浮かぶ。
ああ、僕ってこんな情けなかったかな
「やから、あの日な、
リョウに別れてって言うたんやで。
卑怯な事にその人の家の前で」
そうしてお姉さんは、
僕の顔を見て言った
「ごめんな、うち、章大が好きやねん」
ぎゅ、と心を掴まれた気がした。
嬉しさの上に、
お姉さんへの気持ちを想像した。
きっと、辛かったんやね