第11章 関ジャニ∞:安田章大
ずっと昔に、僕は見た事がある。
僕よりずっと背が高くて、
顔もカッコよくて優しい人に
告白して、フラれてるお姉さんを。
その時のお姉さんは、
綺麗に笑っていたけれど
すごく悲しい顔をしていたんだ。
「……そんで、ここは、って。
章大!ちゃんと話聞いてんの!?」
「…聞いてるわ、長ったるい数式なんて」
「その割に問題進んでへんのやけど!」
ここと指摘された問題に
渋々、目を向ける。
サラサラっと公式書いて、
問題を解くとムスッとした顔を見せた
「…なんなん、解けるやん」
「やから言うたやん、
家庭教師とか要らんねんて」
オカンが勝手に連れてきた家庭教師は、
隣近所に住む大学生のお姉さん。
顔はすごく綺麗で、
隣を歩く人はいつだって素敵なひとだった
「頼まれた以上は教えんと、
お金が勿体ないやろ?ほら、次の問題!」
「…あーも、耳元で叫ばんといて」
心浮かれていたのは、僕だけ。
一番、自覚してる事やのに
やっぱりどこか期待する僕がおった。
出会ったのは高校入りたての頃。
高3のお姉さんと偶々同じ高校で、
道が分からないと言った僕を
案内してくれると家に来たのが出会いだった
最初は好きなんかじゃなかった。
当時は彼氏が居たことを知っていたし、
ただのいい人だと思っていたから