第9章 関ジャニ∞:村上信五
それから彼は、
毎日、夕方6時から1時間。
お父様がいない時だけ
屋敷に来ては出来事を話した
面白いお客さんのお話。
町で起こったこと
これまで体験した面白話
知らない町の出来事に、
胸の辺りは常にワクワクした
「そや。ちゃんさ、
病気は大丈夫なん?」
「……余命、1ヶ月。
信じてないけど、言われちゃった」
お父様は、その日だけは
仕事を休んで部屋で泣きじゃくっていた
辛くて、辛くて。
お母様も病死して、
その日も泣いてたっけ?
だから私は決めた。
せめて笑ってみせよう。
平気だって、お父様に見せる。
安心させるんだ。
「今でも時々、お父様は泣くの
ごめんなあ。ごめんなあって」
「…辛いんちゃうの、
ほんまはつらいんやろ?」
「つらいよっ…つらいよっ!!
でもね、仕方ないよ。
お父様は、一人になっちゃうの
この広いお屋敷に1人。」
朝、お父様に会うたび
やつれていくのを感じた
目の下にはくま。
なのに、笑ってる。
辛いのは私じゃなく、
お父様なんだ