第6章 嵐:松本潤
「嘘泣きの、練習だしっ」
得意の笑顔、
彼には通用しなかった。
松本くんは苦手な人。
好かれてて、優しくて、
なんでも持ってて羨ましくて。
「…嘘つけ。」
隣に座り込むと、
私が一歩離れる
「ホントだよ!
男落とすために練習してんのっ!」
「…なにムキになってんの」
「なってないよ!!」
我に返る。
なんで、泣いてんの私。
こんな奴のために
なんで泣いたりなんか…。
「なんでこういう事してんの
嫌われて平気なやつ居ねぇじゃん。」
「…昔は、好かれたくて必死だった」
友達が欲しくて、必死だった。
だから優しくしようと心掛けた。
けれど、私は裏切られた。
八方美人。うざい、
媚売すぎ、ぶりっ子。
心無き言葉を浴びせられて
仲の良かった友達ですら、
私から離れた。
だから、
「最初から嫌われればいいそう思った。
男の人には媚売れば好かれる
女の子はぶりっ子してればそれでいいと」
「そんなん、しなくたって…」
「うるさい!!!
ほっといてよ!!」
私は親から愛されず育った。
早く成人して一人暮らしをしろと
ずーっと言われ続けた。
お前なんかうちの子じゃないって。
「……っ、私だって…
理由なんかなくたって…
愛されてみたいよ…!」
すると松本くんは、
私の目の前に立って
ぎゅっと抱きしめた。
暖かった。
すごく。。