第5章 嵐:二宮和也
連れてこられたのは
ホコリが舞った、
使われていない空き教室。
『無駄絡みよね?』
「…え?」
『たかが、義妹でしょ。
なのに無駄絡みよね?』
鋭い目つきに、
つまり独り占めしすぎと
そう言いたいんだと悟ってしまう
『調子乗らないでよ』
『可愛くもないくせに』
浴びせられる、毒混じりの言葉に
自然と涙がじわじわ出てきて
きゅっと唇を噛み締めて、
早く終われって祈る。
でも、やっぱり
タダでは終われなくて。
気づけばボロボロだった
こんなはずじゃないのに
立ち上がるのも億劫で、
その場で俯き泣いた
チャイムが鳴った。
きっとお兄ちゃんも雅紀くんも
心配してるだろうなぁ
膝抱えて泣いてると、
外から聞こえる楽しそうな声。
「……お兄ちゃんだ、」
ドッジボールしてるんだ
やっぱり人気者だ。
周りには女の子ばかり
さっきの女子達もいる
ニコニコ笑ってる。
「…なんでっ……」
胸がキリキリ痛んだ。
好きじゃないよ、
好きじゃないけどさ、
特別だって思ってるから。
こんなに、悲しい気持ちになるんだ